都市計画区域の種類と制限

都市計画区域とは

都市計画区域とは、簡単にいうと計画的な街づくりを行うために行政(主に都道府県)が設定する区域で、都市計画法に基づいて定められます。日本の国土は全て都市計画区域を含む以下の3つに分類され、都市計画区域に関してはさらに3つの区域区分に分類されるため、下記の5分類のうちどれかになります。

都市計画区域と区域区分

売買の対象となる土地がどの区域、区域区分に分類されているかを知ることは、その土地に対して行政がどのように発展させて行こうと考えているのかを知るわかりやすい指標となります。またこれらの区域によって、建物に関する建築基準法などの法令上の制約が異なります。ここでは、各区域の特徴と主な制約について説明します。

1. 都市計画区域 – 市街化区域

都市計画法では、市街化区域は「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とされています。ですので、すでに街づくりが発展している区域もしくは、行政が優先的に発展させようとしている区域となります。市街化区域は、行政の管理のもとで発展させてようとする区域のため、法令上の制約を多く受けます。さらに、後述の用途地域によって細分化された法令上の制約が課されます。

2. 都市計画区域 – 市街化調整区域

市街化調整区域は、行政が市街地開発をせず抑制すると指定した区域で、無秩序な開発を抑制する効果があります。市街化調整区域では、建築物の建築が制限されており、行政の許可が必要となる場合があるので、この区域での土地建物の売買は慎重に行う必要があります。

3. 都市計画区域 – 非線引区域

都市計画区域の中で、市街化区域にも市街化調整区域にも指定されていない区域を指します。非線引区域は市街化区域や市街化調整区域に比べると制限がゆるく、開発が比較的容易となります。そのためデメリットとしては、環境の変化が発生しやすいということも挙げられます。また、非線引区域は郊外や田舎が多いので、住宅の場合は水道やガスなどのライフラインが整備されていない場合が多いので注意が必要です。

4. 準都市計画区域

都市計画区域に指定するためには人口比率など一定の要件を満たさないと指定できませんが、その要件を満たさないが将来的の発展のために一定の規制が必要と判断された場合に、準都市計画区域が指定されます。実例としては、郊外のインターチェンジなどが指定されてるケースがあります。また、準都市計画区域の指定が存在していない都道府県も存在します(東京都など)。

5. 両区域外(都市計画区域外)

都市計画法の対象外となる区域で、土地の開発や建物の建築基準の制約は他に比べ少ないです。自身が建物を建築、再築(大規模リフォーム)する場合は自由にできますが、その反面売買する場合は制限が少ない分注意が必要です。

その他の都市計画上の制限

都市計画区域は都道府県が定める大枠の規定ですが、さらに市町村が詳細を規定します。詳細な規定としては、地域地区、地区計画が挙げられます。また地域地区は用途地域と補助的地域地区に分かれます。

地域地区 – 用途地域

土地を利用できる用途を定めたもので、簡単にいうと建造できる建物の種類が規定されます。用途地域の種別は全部で13種類あります。例えば第一種低層住居専用地域であれば、2階建程度の住居しか建てられず、高層住宅や商業施設は建築できません。投資検討に使う例としては、賃貸用アパートを購入する場合、その建物が第一種低層住居専用地域であれば、周囲に高層のマンションは建築できないため、賃貸需要が継続する、と判断するような材料にもなります。

地域地区 – 補助的地域地区

用途地域以外に市町村が制約を課す場合に指定されます。例えば、超高層ビルを建築するための特定街区、建物の高さを制限する高度地区、景観を保つための景観地区、などの指定が挙げられます。

地区計画

都市計画区域、地域地区は全国共通の規定でしたが、その地域に応じた都市計画、制限を地区計画として規定しています。

おわりに

今回は日本の国土が都市計画を通じてどのように分類されるのかと、その大まかな制約の内容をご説明しました。これらの内容は全て覚える必要はないですが、上記内容は重要事項説明にも記載されますので、実際の不動産取引時に、必要に応じて制限の内容を確認すると良いと思います。