日米金利差とドル円レート

日米金利差とドル円レート

金利平価と期待

ドル円レートは日米の金利差との相関性があります。日米金利差が拡大する(米金利が日金利よりも大きくなる)と、円安になるという傾向があります。

例えば、ドルの名目金利が3%、円の名目金利が1%とする場合を考えてみます。国債をリスクフリーとすれば、米国債を1ドル保有すれば1年後に1.03ドルとなる一方で日本国債を100円保有しても1年後に101円にしかなりません。

ここでもし為替レートが固定であれば、裁定取引(アービトラージ)となり、投資家はリスクフリーで鞘が抜ける状態となります。即ち、日本国債をショート(売却)し、米国債をロング(購入)することでリスクなく2円の鞘が抜けることとなります。

よって、今のドル円レートが1ドル100円だとすると、1年後の1.03ドルと101円が等価になる方向に動くと考えられます(投資家がそういう売買を行う)。

よって、「1.03ドル=101円」⇒「1ドル=101/1.03円=98.058円」となります。

すなわち、現在ドル円レートが1ドル100円であり、米国の金利が3%、日本の金利が1%であれば、理論上は1年後にドル円は1ドル98.058円となり、円高が進行することになります。

一方で為替レートは期待で動きます。将来の金利が一定であれば上記のように円高が進行するわけですが、米金利が将来上昇し、日本の金利が将来下落すると投資家が予想する場合には、日本国債を売って、米国債を買う、すなわち日本円を売却してドル円を買う取引が活発になります。

理論的には米国の金利が日本の金利よりも高い場合は、ほおっておけば円高が進行することとなりますが、将来の金利が一定ではないため、実際には米金利上昇期待や日本の金利低下期待により円安が進行することとなります。

ドル円レートの予想

例えば、「米国の景気回復・拡大期待」が強まると米国は金利上昇します。為替レートは金利差によって決定されると述べましたが、実際には将来の金利差の期待によって決定されます。つまり、今の日米金利差が1%だとしても将来3%や5%に拡大するとなれば、今のうちに円を売ってドルを買っておこうといった向きから円安が進行します。

米国の金利上昇

米国の金利が上昇するには米国景気が回復・拡大しなければなりません。FRBは雇用に対して責任を負っているため、景気がよくなり、失業率が下がらない限り金融緩和政策を続けます。すなわち、金融緩和政策をとっていれば市場にはドルがあふれることになるため、資金調達コストである金利は低下することとなります。

しかし、失業率も低下傾向にあり、米景気は回復基調にあると考えられると、将来の米金利上昇期待が上昇していると考えられます。これは円安が進行する一つの材料となります。逆に言えば、今後米国の景気が悪くなるのではという懸念が強まれば、円高へ転換してしまう可能性もあります。

日本の金利低下

日本の金利を低下させるには日銀が大幅な金融緩和策を実施する必要があります。日銀はインフレターゲット2%などを目標に掲げることがあります。インフレを実現するには大幅な金融緩和が必要になります。すなわち、市場に円を溢れさせることになり、調達コストである金利は低下することとなります。