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会社四季報とは
会社四季報とは、東洋経済新報社が発行している、日本の全上場企業を対象に会社の業績予想や財務状況をまとめたもので、年に4回発行されます。それぞれ春号、夏号、秋号、冬号と呼ばれています。企業情報誌として、全上場企業を網羅していて定期的に発行しているのは「会社四季報」と「日経会社情報」の2誌だけであり、「会社四季報」のほうがシェアが高く、海外の投資家からも予想の参考にされていると言われています。会社四季報は会社の過去や現在の情報をまとめているだけでなく、同社の取材にもとづいた独自予想が記載されており、その両方を活用できます。四季報にはいろいろな情報が詰めこられていますが、まずは何を見ればよいかというポイントについて解説します。
会社四季報の見るべきポイントと内容
会社四季報で確認すべき重要な情報を以下に示します。
社名などの基本情報
誌面右上に社名や銘柄コード、設立年月や上場年月などの基本情報が記載されています。
特色欄
社名のすぐ横に記載されていますが、その会社の特徴や主要事業、業界内での地位やシェアなどを2行で端的に記載されています。まずはどのような企業なのかを知る上で参考になります。
業績欄と材料欄
特色欄の左側に、19文字✕9行でその会社の業績予想の根拠がまとめられています。さらにこの中は「業績欄」と「材料欄」の2つに分けられています。「業績欄」は直近の業績動向について記載されており、「材料欄」は、中長期的な成長戦略や課題について記載されています。さらに、「業績欄」の見出しにはその業績や勢いに関して一言でまとめた言葉が記載されます。見出しに記載される文言は以下に示すものが記載され、それぞれプラス業績、マイナス業績などどのような位置づけかが決められています。

また、企業が上場を継続するに困難な自由がある場合、「材料欄」に「継続前提に疑義注記」という文言が記載されますので、この文言が記載されている企業への投資は注意する必要があります。
貸借対照表(BS)
資金をどれくらい集めて、何に投資しているかを表すのが貸借対照表ですが、四季報では、財務指標として重要度の高い以下の6項目が記載されています。
- 総資産
- 自己資本
- 自己資本比率
- 資本金
- 利益剰余金
- 有利子負債
一般的に自己資本比率が高い企業は財務が安定していると言われており、それらの状況の判断に使用できます。
損益計算書(PL)及びその予想
会社がどれだけ売上と利益を上げた、もしくは上げる予定なのかが記載されます。四季報では以下の項目が記載されています。
- 売上高
- 営業利益
- 経常利益
- 純利益
- 一株利益(EPS)
過去の会社の業績の記載はもちろんありますが、それに加えて会社の発表している業績予想と、東洋経済新報社が予想する業績が記載されています。これらの過去の情報、会社予想、四季報予想を一瞥して確認することが可能です。
キャッシュフロー(CF)
資金の出入りがどの活動によって行われているかが記載されます。キャッシュ・フロー計算書で使用される以下の項目が四季報にも記載されます。
- 営業キャッシュフロー
- 投資キャッシュフロー
- 財務キャッシュフロー
営業キャッシュフローは本業によって得たキャッシュで、これがプラスであることは良い会社の第一条件と言えます。投資キャッシュフローは設備投資などの固定資産に対するキャッシュの増減で、こちらのマイナス額が高いと大きく投資していることが伺えます。財務キャッシュフローは資金調達や借入金の返済などの財務活動による資金の流れが含まれます。これらの3つのキャッシュフローの増減がどのようになっているかで、どのような会社かを推測することができます。例えば、営業キャッシュフローと財務キャッシュフローがプラス、投資キャッシュフローがマイナスの場合、本業と資金調達によって資金を獲得し、それらを設備投資に回しているという積極的な活動をしている、ということが伺えます。
株主構成
株式の上位10名の持ち株比率と持株数が記載されており、どのような人や組織がその会社を所有しているのかがわかります。ここでチェックするポイントとしては、株主が個人なのか機関投資家なのか、ということが挙げられます。機関投資家のほうが株価の上昇や配当を出すことを強く求めるので、一般的にプレッシャーが高いと言われています。機関投資家が保持している場合、証券管理業務を委託されているカストディアンと呼ばれる信託銀行の名前(日本トラスティ・サービス信託銀行や日本マスタートラスト信託銀行など)が記載されることが多いです。
欄外の会社比強気(独自予想)マーク
東洋経済新報社が予想している四季報予想営業利益率と、会社予想営業利益の乖離が大きいと、欄外に会社比強気(弱気)マークが付与されます。乖離率によって以下のように付与されます。
- 大幅強気・・・乖離率が30%以上
- 会社比強気・・・ 乖離率が3%以上30%未満またはゼロから黒字
- 会社比弱気・・・ 乖離率がマイナス3%以上マイナス30%未満またはゼロから赤字
- 大幅赤字・・・乖離率がマイナス30%以上
四季報が発行されたら、大幅強気となっている銘柄一覧をまずは見てみる、といった探し方も可能です。
おわりに
会社四季報は上記以外にも様々な項目が含まれており、すべての内容をいきなり理解することは難しいと思います。自分が投資判断に使用する情報をまずは優先的に見るようにし、徐々に他の項目の内容を理解することで、より効率の良い情報収集と投資判断ができると考えられます。