ランダムウォーク理論と効率的市場仮説に基づく投資戦略

ランダムウォーク理論と効率的市場仮説

投資戦略を考える上で、株式をはじめとする金融商品の価格の不確実性についてどのように考えているかに関する理論を知っておくことは重要です。今回は、ランダムウォーク理論と効率的市場仮説について説明します。

ランダムウォーク理論

ランダムウォークとは、「物事の過去の動きから、将来期の動きの方向性を予測することは不可能である」という意味を表しています。これを株式市場に適応すると、株価が短期的にどのように変化するかが予測できないということになります。マーケットでこの理論が成立するとすると、ファンダメンタル分析もテクニカル分析も意味をなさず、世の中のアナリストの活動は無意味と言うことになります。価格に影響を与える事象は本質的にランダムに発生するために、予測することはできない、というのが主な主張となります。
もうすこし主張を別の言い方に変えるとすると、

過去の株式変動の記録を分析しても、有用な情報とはならず、それに基づいた投資戦略は、バイアンドホールド戦略を継続的に上回るパフォーマンスを上げることはできない。

ということになります。この理論は、大統領経済諮問委員や、バンガードの社外役員も務めていたバートン・マルキール教授が自身の著書にて後押ししています。

効率的市場仮説

効率的市場仮説はランダムウォーク理論を後押しする理論で、市場は常に効率的であり、金融市場における商品の価格は、常にその商品の価格を決定する情報を全て織り込んだ状態である、と主張したものであり、
1960年代にユージン、ファーマにより提唱されました。効率的市場仮説は以下の3つに分類されます。

ウィーク型

過去の価格の推移は、全て現在価格に反映されている、という考え方です。このウィーク型の効率的市場仮説が成り立つとすると、過去の株価のトレンドを元に投資判断を行うテクニカル分析は意味をなさないことになります。

セミストロング型

ウィーク型に加えて、公開されている情報全てが現在価格に反映されているという考え方です。セミストロング型の効率的市場仮説が成り立つとすると、会社の決算情報、財務情報など公開された情報に基づいて投資判断を行うファンダメンタル分析は意味をなさないことになります。

ストロング型

セミストロング型に加えて、非公開な情報全てが現在価格に反映されているという考え方です。ストロング型の効率的市場仮説が成り立つとすると、非公開な情報、すなわちインサイダー情報を用いて投資を行ったとしても、意味をなさないことになります。

効率的市場仮説はなぜ成立するか

効率的市場仮説が成立するための重要な考え方として、市場の価格反映の即時性があります。効率的市場仮説が成り立つための条件として、価格を決定する重要な情報が(ランダムに)発生した際に、市場はそれを即座に価格に折り込み、投資家の行動より早いために、上記の考えが成立し、投資家はマーケットの平均以上のパフォーマンスを得ることができなくなります。

ランダムウォーク理論、効率的市場仮説状況下での投資戦略

今回ご詳細したランダムウォーク理論、効率的市場仮説はマーケットで認められたものではなくあくまで仮説であり、アナリストからの反論もあり、議題となっております。マーケットがどの程度効率的であるか、自身にどの程度マーケットの情報を判断できるかによって、以下の2パターンに大別できると考えられます。

市場は十分に効率的ある or 自身に十分な投資判断材料がない

インデックス投資: この状況下において、市場を超えるパフォーマンスを出すことは難しいので、マーケットインデックスそのものに投資することが最適な戦略と考えられます。

市場は十分に効率的ではない or 自身に十分な投資判断材料がある

アクティブ投資: この状況下において、新たな情報を自身が人より早く得ることができ、それが市場が織り込む前に行動ができると考えているのであれば、市場平均を超えるパフォーマンスを出すことは可能と考えられます。