オプション取引とは

オプション取引とは

オプション取引のオプションとは英語で「選択権」を意味します。

オプション取引では、売買を行う当事者の片方がある選択を行う権利を持ち、もう一方の当事者が義務を負うことになります。そして、権利を持つ側はその対価として相手に決められた金額を支払います。これをプレミアムと呼びます。では、選択を行う権利とはどのようなものかというと、決められた商品(原資産と呼びます)を決められた日時に決められた価格(行使価格と呼びます)で買う(または売る)ことができる権利です。

分かりやすい具体例

Xさんは1年後にA社の株を100円で購入することができる権利をYさんから購入しました。この時、権利を持つXさんをオプションの買い手、権利を売って義務を負ったYさんをオプションの売り手と呼びます。Xさんはこのオプションの対価として10円のプレミアムをYさんに支払います。

1年後の株価が120円に値上がりした場合
Xさんはこのオプション取引を行使してYさんから100円でA社の株を購入できます。現在マーケットで取引されているA社の株価は120円ですので、差し引き20円良い価格でA社の株価を手に入れることができました。ただし、初めに10円のプレミアムを支払っていますのでトータルの収益は+10円となります。

1年後の株価が90円に値上がりした場合
Xさんはこのオプション取引を使ってA社の株を購入すると、マーケットよりも高い価格での購入となってしまうため権利を放棄します。権利を放棄した場合は、1年後にXさんとYさんの間で何のやり取りも発生しません。初めに10円のプレミアムを支払っている分、トータルの収益は-10円となります。

オプション取引の種類

オプション取引の基本形は以下の2つの形です。さらにこれらのオプションを買う、または売るという選択肢がありますので計4パターンの取引が存在します。

コールオプション

具体例で挙げた原資産を購入する権利を売買するオプション取引です。オプションの買い手は決められた価格で原資産を購入する権利を持ちます。

プットオプション

原資産を売却する権利を売買するオプション取引です。オプションの買い手は決められた価格で原資産を売却する権利を持ちます。

オプション取引と先物取引の違い

オプション取引と似た経済効果を持つ取引に先物取引があります。最も重要な違いは、オプション取引は原資産を購入(または売却)を行う権利を売買しているのに対して、先物取引は実際に将来の決められた時点での原資産そのものを売買する契約となっている点です。したがって、将来の原資産の価格によらず買い手は決められた価格で原資産を購入する必要があります。(実際に原資産の受け渡しを行わずに、先物価格との差額のみを支払う決済方法もあります。)

オプション取引の利用方法

オプション取引とはいったい何の役に立つのでしょうか?

例えば輸出企業の為替リスクの軽減に利用することができます。輸出企業は自社製品を海外に売却して外貨を得ますがこの外貨を円貨に替える、つまり円買いのニーズが常にあります。円貨に替える際の為替レートによって、円ベースでの業績は大きく変動してしまいます。このような為替リスクを軽減する手法として、円コール・オプションの買いという戦略があります。

円コール・オプションとは、将来決められた為替レート(行使価格)で外貨を(例えば米ドルを)円に替えることができる権利を売買するオプション取引です。輸出企業はこの円コール・オプションを購入することで、為替レートが行使価格を超えた円高たなった場合、オプションの行使によって実際の為替レートに関わらず決められたレートでの円貨への交換が可能となります。反対に、為替レートが行使価格を超えない場合は、オプションを行使してしまうと損になってしまうので権利は放棄されますが、実際の為替レートは輸出企業にとって有利な円安になっておりそのメリットを享受できます。このときプレミアムは払い損になりますが、円高に対する保険料と考えることができます。このようにオプション取引には保険のような意味合いも持たせることができます。