騙されてはいけない高金利な金融商品広告

高金利に見える金融商品広告

金融商品はたくさんの数があり、その中には投資家にとって不利な情報が誤認されやすいものが存在します。一見高金利でパフォーマンスが良いように見えても、よくよくみると実はそうでもないということはよくあります。そういった金融商品に騙されることのないよう、高金利に見えるが気をつけないといけない金融商品と、なぜ気をつけないといけないかについていくつか紹介します。なお、ここでは特定の会社が出している金融商品を非難することが目的ではないので、内容については、仮想の金融商品とします。

初回高金利な1ヶ月もの定期預金

以下のような文言を謳う定期預金があったとします。

  •  高金利!今なら新規口座開設で1ヶ月もの定期預金の初回満期時に税引前金利1%!
  • 初回以降は通常の定期預金金利(税引前0.02%)が自動継続します。

この商品はお特だと感じるでしょうか?まず1つ気をつけないといけないのが、利息に対しては2割の税金がかかりますので、実質受け取れる金利は0.8% or 0.015% となります。この情報は金融商品にも小さく書かれています。そして、さらに気をつけないといけないのが、満期が1ヶ月だということです。1年で金利が1%(実質0.8%) なので、例えばこの定期預金を100万円預けたとして、満期後に受け取れる金額は以下のようになります。

初回1ヶ月
1,000,000 * 0.8% / 12 =  約 666 円

その後1ヶ月 ごと
1,000,000 * 0.015% / 12 =  約 12 円

このように、計算してみるとぱっと見ると金利1%と謳っていた商品が、実はそれほどのリターンを得られないことが分かります。

高金利なEB債(他社株転換条項付債券,早期償還条項付債券)

以下のような金融商品があったとします。

  • 円建債券(ソフトバンクHD) 期間半年、金利5%
  • 他者株転換条項付、早期償還条項付

円建で金利5%とは、一見かなり高金利に見えます(といっても、税金で20%引かれますが)。気になるのは他者株転換条項付、早期償還条項付の部分です。

EB債とはExchangeable Bondの略で、他社株転換可能債と呼ばれます。EB債は債券であるにもかかわらず、償還日までの株価変動によっては、満期日に金銭(償還金)が支払われる代わりに、当該債券の発行者とは異なる会社の株式(他社株)が交付される場合があります。さらにEB債に早期償還条項をつけたものがよく見受けられます。

本当の金融商品は詳細な条件がこの後に記載されていますが、ここでは簡単に概要だけ説明します。この場合、ソフトバンクの株価がある一定の数値(例えば基準価格*105%)を上回った場合 は円建債券として早期償還され、一定の数値(例えば基準価格*70%)を下回った場合、株式で償還されます。株式の基準価格が下回った状態で償還されるので、元本を下回る状態となります。

この商品は他者株転換と早期償還のオプションを投資家が発行者に対して売っており、そのプレミアム分だけ金利が少し高いと考えられます。

この商品は実は、他者株転換条項がついているため、株式の基準価格が下回った場合は、株式に直接投資していたのと同じ損失となります。にも関わらず、早期償還条項がついているため、基準価格が上回った場合でも株式に直接投資している時ほどのリターンは得られず、表記の金利での早期償還となってしまいます。

なのでこの金融商品を買う場合、転換対象株式の価格が満期日まで、早期償還価格(この場合基準価格*105%)と 他者株転換講師価格(この場合基準価格*70%) の間を推移すると判断した時が良いでしょう。

上記の説明で全てのパターンを網羅できてはいないですが、単純な金利5%の円建債券ではないことを理解いただけたと思います。

 

おわりに:無知な投資家は救ってくれない

今回、気をつけるべき金融商品とそのポイントを2つ紹介しましたが、まだまだ他にあります。投資は自己責任なので、証券会社は情報は提供しますが、その投資判断ポイントまでは説明しません。売出側の都合の悪い情報は巧妙に隠されています。さらに悪いことに意図的に誤認を招いていると穿って見てしまうような金融商品広告も存在します。そういったものに、あなたやあなたの大切な人が情報を誤認して投資判断しないように、気をつけることが大事です。