未上場企業による資金調達の日米比較

日本のベンチャー投資額は米国の1/50に留まります

日本と米国を比較すると人口・経済規模の差と比較して、ベンチャー投資額の差が大きくなっています。 

日本のベンチャー投資額は年間約10億ドルに対して、米国では約500億ドルと米国の1/50に過ぎません。

一方、人口は1/3、GDPが1/4と比較しても極端に少なくなっています。

さらに、エンジェル投資額でみるとさらにそれが顕著に現れ、日本は2億ドルに対し、米国は230億ドルと1/100以下です。

個人投資家の投資拡大が課題です

家計資産で見ると日本は14兆ドルに対し、米国は67兆ドルと約5倍の開きがありますが、現金・預金は米国とほぼ同じ水準となっています。

日本の現金・預金の額は米国の1/1.3と巨大であり、個人のエンジェル投資拡大がキーとなっています。

ベンチャー投資に流れない日本の個人資産

米国と日本のベンチャー投資額の差は、日本の個人資産がベンチャー投資に流れていないためと考えられます。

米国の家計資産は投信などに集まっており、機関投資家(VC)を通じてベンチャーに投資されています。

一方、日本では、日本国内の上場企業の株式での資金調達事例を見てみると、国内機関投資家は10~20%に対し、個人投資家を主体とするリテール投資家は80~90%の資金を拠出しており、個人投資家が個別企業に直接投資をしている状況です。

しかしベンチャー企業への投資に限ってみると、個人が未上場企業に投資する機会は限られ、個人投資家のお金がベンチャーに投資されていません。

そのため、未上場企業投資は、上場企業への投資額のわずか10~20%程度の資金規模の国内機関投資家が中心となって行われている状況です。

個人が未上場企業へ投資できる世界を創ることがポイント

それでは、日本の個人投資家が投信などを通じて機関投資家にもっと資金を供給するのを待つしかないのでしょうか?

それは違います。個人投資家が直接未上場企業に投資できる環境を作ることが重要なのです。