特定口座の源泉徴収ありなし、どっちが良いの?

特定口座とは

特定口座とは、申告分離課税が適用になる上場株式等の譲渡益課税について、投資家の代わりに証券会社が損益の計算を行い、「特定口座年間取引報告書」を交付する制度です。証券会社に口座を解説するとき、以下の3つから選択をする必要があります。

特定口座 源泉徴収あり

証券会社で売買損益を計算し、売買益が出た場合その譲渡益課税が源泉徴収されます。また、1年分の売買損益の年間取引報告書を作成し、年初に郵送してくれます。証券会社が申告してくれるため、投資家は確定申告不要になります。年間取引報告書が送付されるので、確定申告した時に還付が受けられるのであれば、確定申告することも可能です。

特定口座 源泉徴収なし

証券会社で売買損益を計算し1年分の売買損益の年間取引報告書を作成し、年初に郵送してくれるところは同じですが、売買益の譲渡益税は源泉徴収されません。したがって、確定申告を行う必要があります。

一般口座

証券会社は年間取引報告書を作成・送付しません。したがって、投資家自らが売買損益を計算し、確定申告を行う必要があります。

特定口座源泉徴収ありなし、どっちが良いの?

基本的には「特定口座源泉徴収あり」が良いですが、一部のケースだけ「特定口座源泉徴収なし」の方が都合が良い場合があります。「特定口座源泉徴収なし」の方が良いケースを以下に挙げます。

確定申告の還付漏れを防ぐ

「特定口座源泉徴収あり」だと以下のようなケースは確定申告した方が良いです。

  • 1年の売買損益がマイナスになった場合(損失繰越ができる)
  • 複数の証券会社の口座を持っていて、どちらか1年の売買損益がマイナスになっている場合(損益通算できる)

上記の場合は、確定申告すれば還付が受けられたり、翌年度の税金が少なくなったりするので確定申告すべきですが、忘れてしまいがちになります。「特定口座源泉徴収なし」にすることで、必ず確定申告が必要になるので、還付忘れを防ぐことができます。

確定申告が原則必須でないケースがある

給与所得者において、確定申告が必要なケースは国税庁のサイトに記述されており、該当する箇所を要約すると以下となります。

大部分の給与所得者は年末調整によって納税が完了するので、確定申告の必要はありません。
以下のいずれかに当てはまる人は、原則として確定申告しなければなりません。

  1. 年間2,000万円を超える収入を給与によって得ている人
  2. 1か所から給与を受けており、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
  3. 2か所以上から給与を受けており、それらの給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
  4. (…以降省略)

いくつか細かい要件がありますが、重要なのは2. の部分で、「1か所から給与を受けており、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」は、原則確定申告が必要とされています。なので、この2. の条件に当てはまらない「給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円未満の人」の場合は「原則確定申告必要」という訳ではないと解釈できます。このように確定申告が原則必要でないケースにおいては、「特定口座源泉徴収なし」の方が有利と考えられる場合があります。(ちなみに、住民税は20万以下でも申告が必要なので、そちらは申告する必要があります)

おわりに

今回は特定口座の違いとそれに関する税制の一部を紹介しました。投資のパフォーマンスをよくするためには、税金・税制に関する理解も必要です。税金の計算方法・申告方法は複数あることが多いので、もっとも適切な制度を適用して正しく納税することが良いですね。